「第40回ウィリアム・ジョーンズカップ」に出場する男子日本代表チームに、京北高校からアメリカへ転校、現在、アメリカ・NCAAノースカロライナ大学で活躍する、次世代を担う188センチの大型ポイントガード・テーブス海が選出された。次世代を担うテーブス海をピックアップ!!
目次
【テーブス海】
生年月日 1998年9月17日
身長 188㎝
体重 83㎏
ポジション PG(ポイントガード)
カナダ人の父親と日本人の母親を持つ、兵庫県生まれ。
【テーブス海 NBAを目指し渡米】
テーブス海の父親、BT・テーブス氏はバスケの指導者。女子実業団Wリーグの富士通レッドウェーブのヘッドコーチ、2017-2018年シーズンまでBリーグ富山グラウジーズでアシスタントコーチを歴任。
テーブス海は強豪校の東洋大学京北高校に進学し、2年連続でインターハイに出場。エースとしての地位を確立していたが、2015年の夏、NBAを目指し渡米。まずは、出場時間を確保するため、メイン州にあるブリッジトン・アカデミーへ入学、アメリカの学生バスケを体感し自信をつけたテーブス海は、マサチューセッツ州にあるノースフィールド・マウント・ハーモンに転校。ノースフィールド・マウント・ハーモンは、全米優勝もしている強豪。
【テーブス海 辛抱の2年間・勝ち取った評価】
現代では、NBAに入るほとんどの選手は有名大学に「返済不要の奨学金あり」のスカラシッププレイヤーとしてオファーを受け入学する。つまり、学校側はチームの実力を高めるための看板選手としてスカウト、選手側は学費が不要であること、高い指導力と整った環境、その後のNBAとのコネクションを求めて契約を交わす。奨学金なしでの入学、ウォークオンプレイヤーでも大学バスケ、NBAで活躍する選手もいるが、やはり、大学側は奨学金を払ったスカラシッププレイヤーを優先的に試合で使うため、不利な立場からのスタートになってしまう。
そして、アメリカの全大学バスケプレイヤーが目指す、NCAAトーナメント。これは、日本野球における「甲子園」のようなもので、NBAドラフトで指名されるためには、NCAAトーナメントに出場できる強豪大学から奨学金オファーを受け、NCAAトーナメントで活躍する必要がある。
しかし、田臥勇太のNBAデビューから渡邊雄太のNBAデビューまで14年かかったことを見てもわかる通り、アメリカでの日本人の評価は低い。まずは「サイズ」だ。身長が低いことが多いうえ、身長が高くても細いことがほとんど。さらに、「メンタル」的にも協調性を評価される一方、あの八村塁でさえ、最後の課題は強い競争心と言われていた。さらに、「言語」の壁。この3つの理由から同じバスケの実力があっても同じ評価を得ることが難しい。
テーブス海は身長188センチ、ポイントガードというポジションで考えると、去年のNBAドラフト選手の中で、ポイントガードを主なポジションとする選手の平均身長は約186センチなのでテーブス海の身長低くはない。カナダ人の父親を持つため英語に問題はなく、高校2年生で渡米を決意するメンタルを持ち合わせている。
さらに、テーブス海はイランで開催されるFIBAアジアU-18男子バスケットボール選手権大会の招集を断り、アメリカでのトーナメントに専念、全世界から選抜された高校生選手たちが集まるプログラム『アディダス・ネーションズ』にも招待された。
【テーブス海 NCAAディビジョン1・ノースカロライナ大学】
そして、ついに、バックネル大学、ブラウン大学、ウォフォード大学、デラウェア大学などからスカラシッププレイヤーのオファーが届いたテーブス海。最終学年のシーズンが始まる前にNCAAのディビジョン1でプレーできることが決定。2017年7月にオファーを受けたノースカロライナ大学ウィルミントン校(UNCW)へ、「環境が整っている」「オファーを受けた中で一番高いレベル」という理由をもとに入学を表明。
ノースカロライナ大学ウィルミントン校はNCAAトーナメントに2000年初出場。計6回の出場で、最高成績は2002年のベスト32。2016年、2017年は連続出場。今後もNCAAトーナメントを狙える中堅校。マイケル・ジョーダンの母校としても知られ、2016-17シーズンNCAA優勝校のノースカロライナ大とは姉妹校。そのコーチ陣も一新され、現在のヘッドコーチはノースカロライナ大のアシスタントコーチだったコリンブライアン・マクグラス、アシスタントコーチには、そのマイケル・ジョーダンと大学時代を共にした元NBAプレイヤーのジョー・ウォルフと華々しいコーチ陣。
【テーブス海 ルーキー・オブ・ザ・ウィーク】
そして今年、満を持して始まった2018-19シーズン。テーブス海は開幕戦からレギュラー、スターターとして出場。開幕戦はアシスト数7本だったが、イースタン・イリノイ大学戦で14本、イースト・カロライナ大学戦で10本、強豪校デビッドソン大学戦でも10本と2桁アシストをマーク。2桁アシストを記録しつつも、デビッドソン大学戦以外は自ら得点も2桁決め、ダブル・ダブルの活躍。ノースカロライナ大学ウィルミントン校が所属するCAA(コロニアルアスレチックアソシエーション)カンファレンスのルーキー・オブ・ザ・ウィークに輝いた。
【テーブス海 日本代表】
現在のバスケ男子日本代表は、スピードと3ポイントシュートを持つ富樫勇樹、パスセンスとハッスルディフェンスを持つ篠山竜青がタイムシェアをしている。しかし、世界と戦うためにインサイドのポジションに人数を割くと、ワールドカップ2次予選の様に、怪我やファウルトラブルで本職のポイントガード不在という状況に簡単に追い込まれてしまう。現状を打破するためには、点が取れるガードとして183センチのベンドラメ礼生、190センチの宇都直輝、海外の経験もある180センチ安藤誓哉。しかし、それぞれに身長の問題や、ポイントガードとしての経験値の少なさ、海外経験の少なさなどに問題を持っている。
その中で、テーブス海は現在、ターンオーバーの多さという課題を持っているが、188センチの身長と得点力、パスセンスとドライブ力を併せ持ったテーブス海が将来、日本代表として八村塁、渡邊雄太と組む。期待が増すばかりだ。
【実弟・テーブス流河】
各都道府県中学校から選抜された選手で構成されたチームによって対戦する「都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会」
2019年の第32回、東京Aチームを率いて見事、準優勝に輝いたのは、テーブス海の実弟・テーブス流河(テーブスルカ)だ。現在174センチ、兄・テーブス海と同じくドリブル・パスを得意としている。かつて、兵庫チームを率いて都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会で活躍した兄と同様に世界に羽ばたく時を楽しみにしたい。