来年行われる「U19女子バスケットボールワールドカップ2019」の出場権をかけた『U18女子アジア選手権大会』
日本代表は渡嘉敷来夢が出場した大19回の2008年に優勝して以来、4大会連続で中国代表に優勝を譲り、準優勝に甘んじている。選手層に厚みが増す女子日本代表はU19W杯の出場権獲得、そして、5大会ぶりの女王の座に返り咲けるか。決勝を含めた全試合のレビュー、未来のA代表候補の戦いをピックアップ!
目次
【第24回 U18女子アジア選手権大会 大会概要】
開催期日:2018(H30)年10月28日(日)~11月3日(土)
開催地:インド・バンガロール
参加国16チーム
◎ディビジョンA:8チーム
【グループA】 オーストラリア、韓国、チャイニーズ・タイペイ、インドネシア
【グループB】 中国、日本、ニュージーランド、マレーシア
◎ディビジョンB:8チーム
【グループA】 インド、シンガポール、グアム、イラン
【グループB】 香港、カザフスタン、シリア、サモア
【U18女子日本代表メンバー12名】
女子日本代表は、A代表の強化合宿にも参加した奥山理々嘉や今野紀花など高校生を主体としながらも、Wリーグから竹原レイラ、大学生の石原柚香と山下詩織の3人も招集。
#4 石原柚香(PG / 愛知学泉大学1年)
#5 山下詩織(C / 白鷗大学1年)
#6 竹原レイラ(PF / 三菱電機コアラースズ)
#7 奥山理々嘉(SF / 八雲学園高校3年)
#8 坂本雅(PG / 桜花学園高校3年)
#9 今野紀花(SG / 聖和学園高校3年)
#10 小村日夏理(SG / 八雲学園高校3年)
#11 梅木千夏(SG / 聖カタリナ学園高校3年)
#12 石牧葵(SG / 浜松開誠館高校3年)
#13 東藤なな子(SF / 札幌山の手高校3年)
#14 マヤ・ソフィア・マッカーサー(C / ダナ・ヒルズ高校2年)
#15 池田沙紀(PG / 岐阜女子高校3年)
【グループ・予選 日本 vs ニュージーランド】
予選第1試合、対戦相手はニュージーランド代表。前半、日本代表は得意の展開の早いトランジションゲームで体格で勝るニュージーランドに対抗。勢いが止まったハーフコートになれば竹原レイラの1on1でゴールを奪う。前半で点差をつけ、41-29で前半終了。
後半はニュージーランド代表のピック&ロールと3ポイントシュートに苦しめられる。52-50となんとかリードしたまま最終クォーターへ。第4クォーターでニュージーランド代表のファウルトラブルがあり、日本代表に優位に。そのまま77-62で初戦をものにした。
【グループ・予選 日本 vs マレーシア】
予選第2試合、対戦相手はマレーシア代表。格下相手に主力を温存しながらも、メンバー全員でタイムシェア。結果、参加した12名全員が得点を記録、合計は130点。ディフェンスでもオールコートとハーフコートで圧力をかけ続け、各クォーターで2ケタ得点を許さず、合計31点。130-31で女子日本代表の圧勝。2連勝、予選最終戦、最大のライバル・中国代表に向け良い弾みになった。
【グループ・予選 日本 vs 中国】
予選最終戦、対戦相手は中国代表。
高さと3ポイントシュートの中国代表と前線からのディフェンスと鋭いドライブの日本代表。23-24とほぼ互角で第1クォーターを終え、第2クォーターもリバウンドを取られ、41-45と中国代表にリードされたまま前半を折り返す。
しかし、日本代表は後半早々にオールコートディフェンスを仕掛け、エース・今野紀花を中心に攻撃を組み立て、5分以上を無失点で乗り切る19連続得点で68-56と一気に大量リードを奪った。第4クォーターは逆に中国代表がオールコートディフェンスを仕掛けてくるが日本代表のガード陣が落ち着いてボールを運び、東藤なな子の活躍もあり最終スコア94-79で日本代表が完勝。
これで日本代表は全勝で予選を突破。準決勝進出を決めるとともに、上位4チームに与えられる来年のU19ワールドカップへの出場権を獲得した。
【準決勝 日本 vs オーストラリア】
ベスト4・準決勝の相手はオーストラリア代表。オーストラリアの高さに3人でゴール下を守るなど、インサイドで対抗、オフェンスでは梅木千夏、石牧葵、奥山理々嘉が3ポイントシュートを成功させ21-12と先行、第2クォーターで交代出場した小村日夏理、石原柚香の3ポイントシュートが決まるなど最大で15点をリードしたがオーストラリアは3ポイントシュート対策にゾーンディフェンスに変更。日本代表の得点が止まるとオーストラリア代表はパワープレーで得点を重ね、怒涛の攻撃に日本代表はターンオーバーを連発。38-39と逆転されて前半を終えた。
後半、しっかりハーフタイム中に対策を練った日本代表は、オーストラリア代表のゾーンディフェンスに対し、キックアウト(ゴール下にドリブルで侵入し、ディフェンスが集まったところでアウトサイドへパスを出すオフェンス方法)で対抗。奥山理々嘉、石原柚香、今野紀花が3ポイントシュートを沈め逆転。第3クォーターだけで30-12と怒涛の反撃を加える。最終クォーター、開始2分で点差を1桁に戻され、奥山理々嘉が4ファウルとなり、さらにチームファウルも5に達したが、日本代表はメンバーを入れ替えてもチームレベルが落ちず、3ポイント攻勢となったオーストラリア代表と互角に渡り合い、層の厚さを見せつけ90-77で勝利し、決勝進出を決めた。
【決勝 日本 vs 中国】
2対2の同点から奥山理々嘉の高い弧を描いたスリーポイントが決まりリード。竹原レイラのインサイドからの連続得点でリードを広げる。奥山理々嘉が周りが見えており、パスが回る、他の選手も動きがよく、フリーでシュートを打てる。
梅木千夏のドリブルからジャンプショット、スピンムーブからのレイアップ。その後も石牧葵の難しい体勢からのフックショットと個人技の精度の高さも見せる。その間、中国代表もスリーポイントの精度の高さを見せ食らいつく。
22-19で第1クォーター終了。まさに決勝にふさわしい戦いとなった。
残り5分を切ったところで30-28と先に30点到達。その後、中国代表の連続スリーポイントでリードを許すが、お互い得点の決まらない我慢の時間が続き、38-38と同点で前半を折り返す。
後半に入っても互角の戦いが続いていたが、残り7分13秒、中国代表のクイックリリースのスリーポイントが決まり、42-47と5点差がつく。すぐさま日本代表はタイムアウトを取るが、中国代表192cmの11番CHENと190cmの10番TANGのツインタワーにインサイドが苦戦を強いられ得点が伸び悩む。また、その高さに対応するためファウルがかさみ、早々にチームファウルが5つに。残り2分でフリースローを2本決められ、46-58と12点差をつけられる厳しい戦いに。終了間際、最大の14点差となるが、東藤なな子の鋭いドライブが決まり、50-62と点差はあるが良い形で終わり、第4クォーターに望みをつなぐ。
逆転を目指す最終クォーターだが、中国代表の竹原レイラの徹底マークとスリーポイントの精度の高さで52-71と逆に点差が開く。しかし、動きの端々に負けず嫌いが見て取れる梅木千夏と東藤なな子の強気のオフェンスで60-73と点差を縮める。62-77で残り3分16秒。流れを変えるべくタイムアウトを取る日本代表。しかし、最後まで攻めの姿勢を貫いたが流れは変わらず76-89で試合終了。5年連続の2位で大会を終えた。