アジア版オリンピックとされるジャカルタ・アジア大会2018で、日本男子バスケ選手たちの軽率な行動が明らかとなった。ジャカルタ・アジア大会のバスケットボール男子日本代表の選手4人が現地で女性を買春したとしてJOC(日本オリンピック委員会)から19日付で代表認定の取り消し処分を受け、帰国した。
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【強制帰国・謝罪会見】
東京都内で20日夜に記者会見した4選手は、橋本拓哉(23・大阪エヴェッサ)、今村佳太(22・新潟アルビレックスBB)、佐藤卓磨(23・滋賀レイクスターズ)、永吉佑也(27・京都ハンナリーズ)。「良くないことをしている認識はあったが、浮ついた気持ちだった。日の丸を背負うという自覚がなかった」と謝罪。4人は予選ラウンド初勝利となったカタール戦直後の16日夜、日の丸の入った公式ウェアを着用し、ジャカルタの歓楽街へ食事に出掛けた。その後、偶然出会った在留邦人の仲介で女性とホテルに同行。1人当たり120万ルピア(約9000円)で買春し、17日未明に選手村に戻った。JOCは日本選手団の行動規範で「アジア大会への派遣は国費で賄われる。競技での活躍だけでなく、競技を離れた場でも社会の模範となる行動を心がける」と定めている。
JOCは「連帯責任として出場を差し止めるには合理的な根拠が十分ではない」として22日の香港戦は残りの8人で臨むことを決めた。会見に出席した日本協会の三屋裕子会長は「悩んだが、残りの選手に海外経験を積ませたい。違法性が確認された場合はチームを引き揚げる」と説明。
【日本バスケの立場】
2015年6月に国際試合出場停止の制裁が解除され、ようやく3年が経ち、その間の2016年にBリーグが幕を開け、アジア王者のオーストラリア相手に歴史的勝利をあげるようになったバスケ日本男子。
東京オリンピックの開催国枠はいまだ決定しておらず、参加条件と言われる、来年のワールドカップでのベスト16に向けてギリギリの戦いが続いている。
つまり、いまだ日本バスケ界は国際バスケットボール協会の監視対象であり、オリンピック参加・不参加は国際バスケットボール協会次第。日本バスケ界は出場できると信じて強さと信頼を重ねていくしかない状況だ。
また、ワールドカップ進出へのギリギリの戦いを支えている八村塁は20歳。NBAとツーウェイ契約を結んだ渡辺雄太は23歳、アメリカ挑戦を決意した田中力は16歳。有望な若手が続々と日本バスケ界に明るいニュースをもたらしている。
そういった、日本バスケ界が置かれている環境とタイミング。それぞれの視点からしても今回の不祥事のダメージは大きい。
【日程】
問題が起きたのは第2戦であるカタール戦終了後である16日。今大会の予選は14日に初戦、16日に第2戦、そして第3戦の香港戦は22日と第2戦から第3戦の間に6日間休養日ができる。第2戦終了時、1勝1敗だった日本代表。FIBAランキング日本49位に対し、チャイニーズ・タイペイ57位、カタール61位、香港79位のCグループの中にあって第3戦目を落とすことは無いとすると、今後決勝トーナメントが行われる過密スケジュールを考えたとき、16日の「予選初勝利カタール戦の後」は一番開放的になってしまう時間だったかもしれない。
【選手の未来】
所属しているチーム、JBAより謝罪の声明が発表され、Bリーグ初代チェアマン・川淵三郎氏の「4選手は、長い間、大変な社会的制裁を受けるだろう」というコメント通り、これから多くの制裁を受けることになるだろう。
しかし、今回の4選手はBリーグ、アジア競技大会での活躍をみればわかるように、日本バスケ界をけん引する有望な選手達だ。
しっかりと猛省し、チーム、日本代表、ファンが一丸となりサポートすることで日本バスケ界に多くの功績をもたらしてくれるであろう。良い時も悪い時も「日本一丸」で未来に向かいたい。