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三井不動産カップ バスケ 女子日本代表国際強化試合 2018
ワールドカップ、そして2年後に控えるオリンピックに向けてさらなる強化を目標に行われるこの試合。長らく代表をけん引したポイントガードの吉田亜沙美とセンターの大﨑佑圭、エースの渡嘉敷来夢が不在の中、若手中心のチーム構成となり、やや平均身長は低くなったが3ポイントシュートを打てる選手が多く、格上(FIBAランキング5位)のカナダ代表に新生日本代表(FIBAランキング13位)がどこまでやれるのか、1試合目の詳細と2試合目の結果をピックアップ。
【前半】
第1クオーター、まずは宮澤夕貴のゴール下で先制すると、水島沙紀、そして宮澤夕貴と再度からの3ポイントシュートが連続で決まり、理想的な立ち上がりとなる。カナダ代表もサミ・ヒルの個人技で対抗するが、今日の女子日本代表はパス回しから良いリズムが生まれ、外・中・外とパスが回り、カナダ代表がディフェンス対応する前にリズムの良いまま3ポイントシュートが打て、決まる。オコエ桃仁花も3ポイントシュートを決め、第1クォーターは24-15で終了。第2クォーターは「相手の戦術に対応できる」という強豪らしさを見せるカナダ代表、ロースコアゲームに持ち込まれるも、日本代表もカナダ代表のターンオーバーを引き出し、第2クオーターは10-14。トータルスコア、前半戦は34-29、5点差をつけて終了
【後半】
後半開始の第3クオーター、前半ですでに日本代表の戦術に対応を見せ始めたカナダ代表はリズムが良くなり、後半開始5分で日本代表が4点を取るうちに、15点を取り早々に逆転。FIBAランキング5位の力を見せつける。
しかし、ここから日本代表を蘇らせたのは前回の三井不動産カップチャイニーズ・タイペイ戦で代表デビューを飾り、尊な活躍を見せた、東京羽田ヴィッキーズ・本橋菜子。アグレッシブなディフェンス、鋭いドライブ、そして、ベテランを思わせるような落ち着きぶりで的確なパスを供給。途中出場ながら、17得点6アシスト2スティールの活躍。そしてもう一人の立役者は三菱電機コアラーズ・根本葉瑠乃。カナダ代表がディフェンスをゾーンにしたこともあり、元々定評のある3ポイントシュートが高い弧を描き連続で決まっていく。第3クォーターのラストも根本葉瑠乃が3ポイントシュートを沈め、55-46でファイナルクォーターへ。
第4クォーター、195センチのサイーシャ・グラント・アレン、198センチのエミリー・ポッターを中心にFIBAランキング5位の底力を見せるカナダ代表、第4クォーターだけを見ると18-24と押し込まれるが本橋菜子が試合をしっかりとコントロールし、猛攻を耐えきった。最終結果は73-70と僅差ながら若手の日本代表が格上のカナダ代表に勝利を収めた。
【スタッツ】
スタッツからみるとカナダ代表の3ポイントシュート成功率は16本中4本と25%に対し、日本代表は29本中12本と41%と圧倒、リバウンドはカナダ代表が合計40本(オフェンスリバウンド9本・ディフェンスリバウンド31本)に対し、日本代表は合計33本(オフェンスリバウンド8本・ディフェンスリバウンド25本)で7本マイナス。注目したいのはターンオーバー。カナダ代表19個に対し、日本代表は9個と一桁。
リバウンドを少し捨ててでも、3ポイントシュートで得点を稼ぎ、ミスが少なく、タフなディフェンスでミスを誘うという理想的な女子日本代表の結果となった。このチームに、足の負傷で欠場したエース・渡嘉敷来夢の193センチの高さが加われば、まさにメダルにも期待が高まる。
【接戦からの2試合目・8/7】
ランキング5位のプライドにかけてリベンジに燃えるカナダ。しかし、町田瑠唯が体を流しながらのジャンプショットを決め、先制。この日の日本代表はトム・ホーバスHCが「すごく良かった。最初から最後まで」と戦いぶりを評価するほど、タフなディフェンス、素早いパス回し、外も中も決まるシュートと非の打ち所がない仕上がりを見せる。本橋菜子のスティールからの速攻、赤穂さくらのシュートなどで得点を重ね、25-11で最初の10分間を終え、勢いそのままに宮澤夕貴が3ポイントを含む連続得点をマーク。46-23とダブルスコアで前半終了。後半、短いスパンでタイムシェアをするも、馬瓜エブリン、根本葉瑠乃、三好南穂と交代した選手も活躍し、88-50と38点差で日本代表の勝利。カナダには2連勝、三井不動産カップとしては3連勝を挙げた。
今回の強化試合は若手選手を中心に選抜したが、これだけの結果、試合内容を残しただけに、9月22日に開幕する「FIBA女子バスケットボールワールドカップ2018」に向けての選手選抜は監督にとってはうれしい悩み、選手にとっては厳しい競争となった。世界5位のカナダを圧倒した女子日本代表、今後の期待が高まるばかりだ。
【国際強化試合 三井不動産カップ 女子日本代表メンバー14名】
0 長岡萌映子(SF / トヨタ自動車アンテロープス)
1 藤岡麻菜美(PG / JX-ENEOSサンフラワーズ)
7 水島沙紀(SG / トヨタ自動車アンテロープス)
8 髙田真希(PF / デンソーアイリス)
13 町田瑠唯(PG / 富士通レッドウェーブ)
15 本橋菜子(PG / 東京羽田ヴィッキーズ)
17 三好南穂(PG / トヨタ自動車アンテロープス)
24 藤髙三佳(SG / トヨタ自動車アンテロープス)
30 馬瓜エブリン(SF / トヨタ自動車アンテロープス)
39 赤穂さくら(C / デンソーアイリス)
41 根本葉瑠乃(SG / 三菱電機コアラーズ)
52 宮澤夕貴(SF / JX-ENEOSサンフラワーズ)
88 赤穂ひまわり(SG / デンソーアイリス)
99 オコエ桃仁花(SF / デンソーアイリス)
[HC]トム・ホーバス