FIBAワールドカップアジア1次予選。日本代表がチャイニーズタイペイを破り、2次予選を決めた試合の裏で行われていたオーストラリア代表対フィリピン代表戦は乱闘試合となり多くの退場者を出した。FIBA(国際バスケットボール連盟)が発表した処罰とその処罰が日本代表に及ぼす影響をピックアップ。
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目次
【乱闘までの流れ・未曾有の1人対5人】
79-48とオーストラリア代表勝利がほぼ確実となった第3クォーターの残り4分、フィリピン代表16番ロジャー・ポゴイがオーストラリア代表4番クリス・ゴールディングに肘を振り回し威嚇、その後、肘ごと体当たりをし乱闘開始。しかし、実際の小競り合いはその前から。肘打ちの直前のオーストラリア代表の攻撃。パスを受け取るためにアウトサイドに切り返すオーストラリア代表4番クリス・ゴールディングのユニフォームを掴むフィリピン代表16番ロジャー・ポゴイ。しかし、クリス・ゴールディングは振り切り3ポイントシュートを決める。ここからフィリピン代表16番ロジャー・ポゴイの肘打ちに繋がる。
その後はオーストラリア代表のダニエル・キッカート、NBA選手ソン・メイカーが反撃。フィリピン代表のテレンス・ロメオとジェイソン・カストロ、アンドレイ・ブラッチが迎え撃つ。乱闘はコート外へ波及し、オーストラリア代表ネイサンがフィリピン代表の控え選手に囲まれる場面や椅子が宙を舞う場面も。しかし会場はフィリピンホーム、身の危険を感じたかオーストラリア代表側から引き始め乱闘は終わりをみせる。長い審判団の協議の結果、フィリピン代表からは9人、オーストラリア代表からは4人の退場者が告げられ、前代未聞の「フィリピン代表3人対オーストラリア代表5人」で試合再開。しかし、試合再開もフィリピン代表はわざとファウルを仕掛け、自らファウルアウトしていく。フィリピン代表のゲイブ・ノーウッドがファウルアウトし、ついにフィリピン代表は1人となり第3クォーター残り1分57秒、89-53で試合は規定によって終了。第4クォーターは行われなかった。
【FIBAの処罰】
フィリピン代表で処分された選手は10人。211cm大型パワーフォワード、アンドレイ・ブラッチは3試合の出場停止。もう一人のフォワード、カルビン・アブエバは最大の6試合の出場停止。チョット・レイエスHCは1試合の出場停止と罰金、ジョセフ・ウイチコACは3試合の出場停止となった。
オーストラリア代表は3人が処罰された。飛び蹴りで反撃に出たNBAミルウォーキー・バックス所属のソン・メイカーが3試合の出場停止、同じくひじ打ちで応戦したフォワードのダニエル・キッカートは5試合の出場停止。またチーム自体に11万ドル(約1200万円)の罰金が科せられた。
また、フィリピン・バスケットボール連盟は27日、男子代表チームが出場予定であった8月のアジア大会を辞退すると発表した。
【オーストラリア代表とフィリピン代表の処罰が日本代表に悪影響⁉】
ここで問題になるのが、出場停止は1次予選が終了しているため9月から始まる2次予選からということだ。2次予選は1次予選の成績が反映されるため、日本代表が戦うグループFの現在の順位は以下の通り。
グループF
1位 オーストラリア:5勝1敗(勝ち点11)
2位 イラン:5勝1敗(勝ち点11)
3位 フィリピン:4勝2敗(勝ち点10)
4位 カザフスタン:3勝3敗(勝ち点9)
5位 日本:2勝4敗(勝ち点8)
6位 カタール:2勝4敗(勝ち点8)
次のステージであるワールドカップ2019に進むことができるのは、グループEとグループFの12チームのうち、各グループで3位以内に入ったチームと、グループEとグループFの4位のうち、成績が上位のチームの合計7チーム。
つまり、日本代表が2020年東京オリンピックに開催国枠で出場できる条件として言われている「ワールドカップ出場」のためには「グループF4位」が最低条件となる。
しかし、すでに1次予選でオーストラリア代表、フィリピン代表と対戦している日本代表は2次予選でこの両国と対戦することはなく、1次予選で別グループであった、イラン代表、カザフスタン代表、カタール代表だけが主力メンバー出場停止で戦力減となった両国と対戦するのである。結果的に今回の処罰は、イラン代表、カザフスタン代表、カタール代表に優位に働き、自業自得と言える乱闘を起こしたオーストラリア代表、フィリピン代表だけではなく、1次予選が同じグループだったという理由で日本代表に不利に働くこととなった。
果たして日本代表への救済処置はあるのか。救済処置が無かった場合、不意に襲ってきたこの逆境を乗り越え、2次予選を突破できるのか。全力で応援を送りたい。
【日本代表 今後の試合日程】
・Window4
9月13日 vsカザフスタン(アウェイ)
9月17日 vsイラン(ホーム:大田区総合体育館)
・Window5
11月30日 vsカタール(ホーム)
12月3日 vsカザフスタン(ホーム)
・Window6
2月21日 vsイラン(アウェイ)
2月24日 vsカタール(アウェイ)