歴史的勝利となったオーストラリア戦。現地、千葉ポートアリーナより試合レビュー。
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目次
オーストラリア戦の立役者
79点中24得点。最後のダンクはまさに日本の希望「八村塁」
最多の25得点、12リバウンドのダブルダブル。救世主「ニック・ファジーカス」
激しいディフェンス、最後のレイアップ、会場を巻き込み勝利に導いた司令塔「篠山竜青」
倒れても立ち上がる不屈のルーキー「馬場雄大」
比江島ステップが世界に通用することを証明した「比江島慎」
ソン・メイカーに立ち向かった「竹内譲次」
身長さを感じさせないディフェンス「富樫勇樹」
日本は昨年11月のウィンドウ1で、オーストラリアに敵地アデレードで24点差(オーストラリア82-58日本)の大敗。最大の課題となったリバウンド数は27本差(オーストラリア48本、日本21本)。
スターターは富樫勇樹、比江島慎、田中大貴、八村塁、ニック・ファジーカス。
対するオーストラリアもウィンドウ1不参加であったNBA選手、マシュー・デラベドバとソン・メイカーを先発で起用してきた。
第1クォーター
ニック・ファジーカスの試合最初のシュートがソン・メイカーのブロックにあい、オーストラリアが高さを見せつける。オーストラリアに先取点を決められながらも八村塁がフェイクからの技ありジャンプショットを沈めゲーム開始。
日本はラマスHCが練習してきたとコメントしたゾーンディフェンス(2-3)でオーストラリアに対抗。しかし、ニック・ファジーカスのディフェンスの隙をつきソン・メイカーがバスケットカウントをゲット。フリースローを沈め2-5。オーストラリアはフルコートプレスと手を抜かない。
第1クォーターで会場が沸いたシーンは意外にもディフェンス。残り1分、オーストラリアのダニエル・キッカートがゴール下へと八村塁に何度も体を当てに行くがビクともしない。その頼もしい姿に会場から拍手が起こった。ディフェンスだけでなく、終盤、八村塁のジャンプショットと3ポイントでリードを拡大し、23-16で最初の10分間が終了。
第2クォーター
馬場雄大、田中大貴、竹内譲次と篠山竜青、八村塁とほぼアルバルク東京+2人で構成。後半に構成される「ほぼ川崎ブレイブサンダース」とともに練習量が制限される代表において、連携面を補完するラマスHCの手腕か。
第2クォーター序盤は竹内譲次のディフェンスが光る。簡単に相手にシュートを打たせず、必ずタフショットを強いる。その間に、日本の3ポイントシュートも決まり、残り5分半で33-22と2ケタ得点差。さらにニック・ファジーカスが連続3ポイントシュートを決め33-22。オーストラリアはたまらずタイムアウト。ベンチに引き上げるニック・ファジーカスを八村塁がヒップアタックでお出迎え。
オーストラリアもソン・メイカーのリバウンド、クリス・ゴールディングの3ポイントシュートで得点を重ね、42-33で前半終了。
第3クォーター
得点差以上に会場全体が「勝てるかも」と印象付けたプレイから始まった。比江島慎の3ポイントシュートが外れ、リバウンドを取った八村塁がソン・メイカーを含むオーストラリア選手3人に囲まれながらもゴール下のシュートを決め切り、バスケットカウント、八村塁が叫んだ。これにはニック・ファジーカスも驚きと笑顔を隠さなかった。このプレイがオーストラリアに火をつけたか、ここから日本代表の我慢の時間が始まる。日本代表のディフェンスのゆるみを突かれミスを連発、リバウンドも一時支配される。八村塁、比江島慎のシュートもリングに嫌われ、残り5分に3ポイントを決められ50-50と同点。さらに、八村塁がボールをロストしマカロンにゴールを許すと50-52と逆転される。ここでギアが入った馬場雄大のトップスピードにオーストラリアがアン・スポーツマン・ライク・ファウル(※スポーツマンらしくないファウル)を犯し、馬場雄大がベンチへ。代わって辻直人がフリースローを2本沈め同点。
辻直人、篠山竜青、ニック・ファジーカスと竹内譲次、比江島慎という「ほぼ川崎ブレイブサンダース」で試合を作る。比江島慎とニック・ファジーカス、竹内譲次とニック・ファジーカスの息の合ったプレイで得点を重ねる。さらに篠山竜青の気合の入ったディフェンスで64-58でなんとか耐え、第4クォーターへ。
第4クォーター
序盤2分半以上も両者得点がないディフェンス合戦。膠着したまま残り3分半71-66。ソン・メイカーの豪快なワンハンドダンクで71-68、篠山竜青のフローターシュートが決まるも、すぐさまソン・メイカーがバスケットカウントを決め返しNBA選手の実力を見せつける。残り2分半、2点差に詰め寄られ、篠山竜青がたまらずファウル。日本代表のチームファウルが5つに。会場自体が弱気になったこのタイミングで仕事をするのが比江島慎と篠山竜青。
ドライブからノールックパスで馬場雄大に絶妙アシストを決めると、篠山竜青はディフェンスで下がりながら声援を促すように会場をあおる。その甲斐あってか、熾烈なリバウンド合戦に勝利し、残り1分半、75-72で日本代表がボールをおさめる。しかし、日本代表攻めきれず残り1分を切ったところで75-74と1点差。
残り時間が無い中、ゴール確率の高いニック・ファジーカスにボールを回し攻撃するも、ボールをカットされてしまう。決まれば逆転というオーストラリアのシュートはリングに大きく弾かれ、篠山竜青のもとに。大歓声の中、左利きの篠山竜青のレイアップが決まり77-74。残り20秒、タイムアウト開けのオーストラリアの攻撃、同点を狙った3ポイントシュートは外れ、比江島慎がリバウンドを抑える、ここで貪欲に勝利を目指しゴールへ走っていたのが八村塁だ。比江島慎からのパスを受け取ると日本代表の歴史的勝利を象徴する豪快なダンクと咆哮。会場は総立ち、場内の音楽が聞こえないほどの日本コール。
しかし、相手はアジア王者のオーストラリア。残り10秒、5点差でも諦めていない。フリースローを得て、1本沈めたのち、2本目をわざと外し、3ポイントシュート。かなりの距離だがきっちり決め、79-78と1点差に。最後の最後まで王者の実力を見せつけたがタイムアップ。
試合後
オーストラリアのフィジカルなプレーに日本の選手が対応した。ファジーカスと塁が加入して得点源となり、スペースが生まれて他の選手が生きた。」とラマスHCはコメントし、オーストラリア代表のレマナスHCも「日本はアグレッシブだった」とコメントした。課題のリバウンドも、本数で負けはしたがオーストラリア50本、日本44本と6本差までに改善された。
日本 79-78 オーストラリア
JPN|23|19|22|15|=79
AUS|16|17|25|20|=78