元NBA選手・田臥勇太。日本代表の救世主となった八村塁。NBAサマーリーグに参加中の渡邊雄太。第40回ウィリアム・ジョーンズカップに出場する男子日本代表チームには、ノースカロライナ大学ウィルミントン校のテーブス海、ジョージア工科大学のシェーファーアヴィ幸樹が選抜されるなど、日本バスケをけん引する渡米経験者。今年、琉球ゴールデンキングスに復帰しウィリアム・ジョーンズカップに日本代表として出場する並里成(ナミザト ナリト)が第1回生となる「スラムダンク奨学金」とは何か。
【スラムダンク奨学金】
スラムダンク奨学金とは漫画『SLAM DUNK』の作者・井上雄彦がバスケットボールへの恩返しの意味を込めて創設した返金義務のない奨学金制度である。
2008年から開始され、当時はBリーグもなく、野球、サッカーと比べてプロのバスケ選手になる夢を抱くことが難しく、競技としてバスケットボールをプレーする日本の青少年たちは、高校を卒業すると競技を止めてしまうことを憂い、日本におけるバスケットボールの一層の発展を願い、『スラムダンク奨学金』設立に至った。
【選考方法】
高校卒業後も競技を続けることを希望する高校生を対象とし、奨学生はプレップスクール(大学準備や、より高度な教育のための私立学校のこと。大学コーチなどのスカウトマンがよく訪れるため、大学からの奨学金のオファーを受けるチャンスもある)に入学する。
第一選考は書類選考。井上雄彦さん本人を含めめ、事務局が依頼するバスケットボール指導者、スラムダンク奨学金事務局が担当。30名程度が通過する。
第二選考はプレップスクールコーチ(現在はセントトーマスモアスクールのジェリィ・クィンHC)による書類と映像。3名程度が通過。
最終選考は実際の現地(現在はセントトーマスモアスクール)で練習に参加し、実力とチームへフィット力をプレップスクールコーチが直接審査。若干名の通過とはなるが第5回は該当者無しと実力に基づいた厳選なる選考であることが証明された。
【奨学生】
奨学金による支援はおおむね高校卒業年の3月から翌年5月までおよそ14か月間行われる。奨学生は3月に渡米してプレップスクールの寮に入り、9月から始まる学期に備え準備を行う。スクールでは大学進学に必須となる学力や英語能力を身に着けると同時に、プレップスクール内のチームで競技力を上げ、大学進学を目指す。
第1回から第8回までの奨学生は、アイザイア・トーマスの出身校である、コネチカット州サウスケントスクールへ入学し、第9回以降は、渡邊雄太も通っていたコネチカット州セントトーマスモアスクールへ入学する。
【奨学生一覧】
第1回
並里 成(なみざと なりと )選手
現在・琉球ゴールデンキングス(B.LEAGUE)
第2回
谷口 大智(たにぐち だいち)選手
現在・秋田ノーザンハピネッツ(B.LEAGUE)
早川 ジミー(はやかわ じみー)選手
現在・モデル事務所を設立
第3回
矢代 雪次郎(やしろ ゆきじろう) 選手
現在・愛媛オレンジバイキングス(B.LEAGUE)
第4回
山崎 稜(やまざき りょう)選手
現在・栃木ブレックス(B.LEAGUE)
第5回
該当者なし
第6回
山木 泰斗(やまき ひろと)選手
現在・ペンシルベニア州ライコミング大学
第7回
村上 駿斗(むらかみ しゅんと)選手
現在・広島ドラゴンフライズ(B.LEAGUE)
第8回
猪狩 渉(いがり わたる)選手
現在・福島ファイヤーボンズ(B.LEAGUE)
第9回
酒井 達晶(さかい たつあき)選手
現在・メイン州 セントジョセフ大学
第10回
鍵冨 太雅(かぎとみ たいが)選手
現在・2018年8月メイン州ボウディン大学入学予定
第11回
小林 良(こばやし りょう)選手
現在・2018年9月セントトーマスモアスクール入学
ホール 百音 アレックス(ほーる もね あれっくす)選手
現在・2018年9月セントトーマスモアスクール入学
第12回
木村 圭吾(きむら けいご)選手
現在・八王子学園八王子高等学校(東京都)3年
この渡米経験を活かし、日本代表選手、NCAAトーナメント進出選手、NBA選手が生まれ、さらに日本バスケ界をけん引してくれることを期待したい。