負けられない戦いが続く「崖っぷちバスケ男子日本代表」だが、日本ホーム・富山で行われたカタール戦では八村塁・渡邊雄太抜きでの戦いにもかかわらず、85-47と38点差をつけて圧勝。ワールドカップ予選、4連敗からの5連勝を飾った。ワールドカップ出場へ大きな転換となったカタール代表戦の見どころをピックアップ!
目次
【八村塁・渡邊雄太抜きでも戦えると証明した第1クォーター】
第1クォーターは、日本代表ペース。初得点はオーストリアで試合出場に恵まれず、今回の日本代表戦に意欲を燃やす比江島慎がドライブからレイアップを沈める。しかし、燃えすぎたか、早々にファウルを重ね、ベンチに。
そこで、変わって出場したのは地元・富山のスター、馬場雄大。早速、同じアルバルク東京に所属する田中大貴とのコンビネーションで得点を演出する。
ニックファジーカスも本来のシュートタッチまで復帰はしていないが、確かな底力で得点を重ねていく。
注目すべきは日本代表のディフェンス。
まずはマンツーマンディフェンスで始めるが、すぐにゾーンディフェンスに切り替える。その後もマンツーマンとゾーンを使い分け、篠山竜青をはじめ、タイトなディフェンスを披露、ニックファジーカス、竹内譲次、太田敦也がしっかりリバウンドを取っていく。新生カタール代表は日本代表のディフェンスに対応できず、淡白な攻撃に終始する。しかし、カタール代表、96番イェヒア・アブデルハリームの無造作なスリーポイントが終了間際のブザービーターで入ってしまい、20-15で第1クォーター終了。
【若さが躍動した新生カタール代表・第2クォーター】
第2クォーターは、カタール代表で公式の写真も間にあっていないという緊急招集された21歳の6番ムスタファ・フーダの時間となる。
日本代表は、比江島慎と富樫勇樹を戻してスタート。早速、富樫勇樹からのパスを比江島慎がスリーポイントを沈める。しかし、比江島慎がカタール代表のポンプフェイクにつられ、3つ目のファウル、再度ベンチへ。ベンチから送り込まれたのは、琉球ゴールデンキングス所属、初代チャンピオンシップファイナルMVP・スコアラー古川孝敏。第1クォーター終盤、オールコートディフェンスを見せたカタール代表は6番ムスタファ・フーダを中心に勢いづく。カタール代表はニックファジーカスを徹底的にマーク、日本代表の得点が止まる。ついに、残り5分半、25-27とカタール代表に逆転を許す。さらに、富樫勇樹がシュート時に6番ムスタファ・フーダの足を踏み、足首を負傷、ベンチへ下がる。その後も攻撃にリズムの出ない日本代表はシュートがリングに弾かれ続ける。外からのシュートがリングに嫌われる日本代表はディフェンスから足を使って速攻しかけ、対抗。しかし、逆転を狙った古川孝敏のシュートはやはりリングに嫌われ31-32と1点ビハインドで前半終了。
【故郷に錦を飾る馬場雄大の第3クォーター】
第3クォーターは、アクシデントから日本代表の新しいスタイルが生まれた劇的なクォーターとなった。
活躍→ファウル→ベンチを2回繰り返し、3度目のコートインとなった比江島慎の絶妙パスからニックファジーカスの得点。早々にリードを奪い返す。ここからの3分間はお互いにファウルを重ねながらも相手の得点を抑える我慢の時間帯。残り7分、ラマスHCが勝負に出る。ファウルが3つになったポイントガード篠山竜青を下げ、田中大貴をイン。田中大貴をポイントガードで起用し、比江島慎、馬場雄大、竹内譲次、ニックファジーカスという、高身長構成「ビッグマンチーム」を組織。相手ポイントガードとの身長差ミスマッチもあり、得点を重ね、試合が動き出す。決定打は残り4分18秒、その田中大貴のノールックパスを走り込んだ馬場雄大がワンハンドダンク、さらにファウルを受けながらのためバスケットカウントワンスロー。思わず叫ぶ馬場雄大に日本代表ベンチ、会場も一体となる。ワンスローも沈め、47-35と二桁得点差。ここで、ニックファジーカスを下げ、張本天傑をコートイン。ニックファジーカスを温存しようという作戦だが、良い意味でこれは裏切られる。コート上の田中大貴、比江島慎、張本天傑、馬場雄大、竹内譲次、全員にドライブとスリーポイントがあり、さらに攻撃が速く、選択肢が多いため、カタール代表のディフェンスが対応できない。終了間際も馬場雄大のジャンプショットが決まり、61-40と大差をつけ、ファイナルクォーターへ。
【日本代表の新スタイル・圧巻の第4クォーター】
第4クォーターになっても、日本代表はメンバーを変えず、カタール代表を圧倒。散々やられたカタール代表6番ムスタファ・フーダのフローターシュートも馬場雄大が空中で迎撃。点差が開いたところで、ニックファジーカス、篠山竜青、古川孝敏がコートイン。勝利はほぼ確定しても、ワールドカップ出場のために得点差が必要だと理解しているベテランの篠山竜青と古川孝敏、2人のハッスルディフェンスはさらにカタールオフェンスを抑え込む。残り2分、ニックファジーカスがベンチに下がっても、全員で手を伸ばしリバウンドを取り、さらに攻撃回数を増やす。守り続け、攻め続けた日本代表。85-47と38点差をつけて勝利。ワールドカップ予選、4連敗からの5連勝を飾った。